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妊娠7ヶ月で歯科治療を受けた私の体験談 – 胎児への影響を徹底検証

 

妊娠中期の突然の激痛に襲われ、治療への恐怖と赤ちゃんへの不安を抱えながら歯科医院を受診した実体験をもとに、厚生労働省と日本産科婦人科学会のガイドラインに沿った治療の安全性について詳しく解説します。現在多くの妊婦さんが同じ悩みを抱えていることから、医学的根拠に基づいた正しい情報をお届けし、安心して治療に臨めるよう支援いたします。

 

妊娠7ヶ月、ある夜の激痛から始まった不安

妊娠27週のある夜、突然左上の奥歯に激痛が走りました。妊娠前から時々軽い痛みを感じていた歯でしたが、まさかこのタイミングで悪化するとは思いませんでした。鈍い痛みから始まり、数時間後には眠れないほどのズキズキとした激痛に変わっていました。

この時期の私の口の中は、つわりが落ち着いてからも歯磨きが不十分だったことを実感していました。妊娠中はホルモンバランスの変化により唾液の分泌量が変わり、口内環境が悪化しやすいということを産婦人科で聞いていましたが、まさに身をもって体験することになりました。

痛みと同時に襲ってきたのは、胎児への影響への不安でした。「この時期の歯科治療は本当に安全なのだろうか」「麻酔が赤ちゃんに悪影響を与えないのだろうか」そんな思いが頭をよぎり、一睡もできない夜を過ごしました。

 

医学的ガイドラインが示す妊娠中期治療の安全性

翌朝、かかりつけの産婦人科医に相談したところ、「妊娠中期であれば歯科治療は問題ない」との回答を得られました。この判断は、厚生労働省が発表した「妊産婦における口腔健康管理の重要性」に関する資料に基づいています。

厚生労働省の資料によると、つわりがおさまる4~5か月頃に歯科健診を受診し、比較的体調の安定した妊娠中期に必要な歯科治療を行うことが推奨されています。厚生労働省 実際、妊娠中の歯周病は早産・低体重児出産のリスクを高めることが複数の研究で明らかになっており、17報の症例対照研究(総数10,000名以上)のメタアナリシスでは、歯周病による早産および低体重児出産の危険率は4.68倍という結果が示されています。

このデータを知った時、治療への恐怖よりも「放置することの方がリスクが高い」という事実に背中を押されました。母子健康手帳を持参し、産婦人科医からの情報を歯科医師と共有することで、より安全な治療計画を立てることができました。

 

実際の治療プロセス – 麻酔から処置まで

歯科医院では、まず詳細な問診と現在の妊娠状況の確認が行われました。体調の変化に細心の注意を払いながら、できるだけ楽な姿勢で治療を受けられるよう、治療椅子の角度や体勢について配慮していただきました。

最も不安だった麻酔についても、詳しい説明を受けました。歯科治療で一般的に使用されるリドカイン(キシロカイン)は、動物生殖試験において胎児への危険性が否定されており、通常量(カートリッジ2~3本)であれば問題ないとされています。実際、無痛分娩でもリドカインが使用されており、歯科治療で使用する量よりもはるかに多くの量が使われているにも関わらず、胎児への影響はほとんど報告されていません。

治療当日、まず防護エプロンを着用してのレントゲン撮影を行いました。この防護エプロンにより、お腹への放射線被曝は限りなくゼロに近い状態まで軽減されます。その後、局所麻酔を施し、感染した歯髄の除去と根管治療が行われました。

麻酔の効果は局所に限定され、注射部位のわずかなチクリとした感覚の後は、全く痛みを感じることなく治療を受けることができました。治療中も定期的に体調確認があり、気分が悪くなったり不快感を感じた際はすぐに中断できる体制が整えられていました。

 

胎児への影響に関する医学的根拠

治療から2週間後、定期的な妊婦健診を受診しました。胎児の成長は順調で、心拍数や動きにも異常は見られませんでした。その後の経過観察でも、歯科治療が胎児の発育に悪影響を与えた兆候は一切ありませんでした。

医学的文献によると、歯科用キシロカインカートリッジの通常の歯科治療における使用量は健康な妊婦に問題はないとされています。日本口腔衛生学会 局所麻酔薬は注射部位で分解され、全身への影響は最小限に抑えられるため、適切な使用量であれば胎盤を通過する量は微量にとどまります。

一方で、妊娠中の歯周病や虫歯を放置することの方が、母体と胎児にとってより深刻なリスクをもたらします。歯周病菌が血流に入ることで炎症性物質が分泌され、子宮収縮を誘発する可能性があるためです。実際、歯周病は早産のリスクを2.01倍、低体重児出産のリスクを2.20倍高めるというエビデンスが確立されています。

 

妊娠期から始める親子の口腔健康戦略

この体験を通じて、妊娠期の口腔ケアがいかに重要かを身をもって理解しました。胎児の歯胚(将来の乳歯)は胎生期早期から形成が始まるため、母体の栄養状態や口腔環境が将来の子どもの歯の健康に影響を与える可能性があります。

妊娠中の口腔ケアは、単に母体の健康を守るだけでなく、生まれてくる赤ちゃんの口腔健康の基礎を築く重要な意味を持ちます。厚生労働省も「マイナス1歳からの口腔健康管理」の重要性を提唱しており、妊娠期からの適切なケアが推奨されています。

具体的には、妊娠中期に歯科健診を受け、必要な治療は安定期のうちに完了させることが理想的です。また、妊娠性歯肉炎の予防のため、やわらかな毛先の歯ブラシを使用し、つわりで歯磨きが困難な時期にはうがいだけでも継続することが大切です。

 

安心して治療に臨むためのチェックポイント

私の体験から学んだ、妊娠中の歯科治療で重要なポイントをまとめます

治療前の準備

  • 母子健康手帳の持参と産婦人科医からの情報共有
  • 現在の妊娠週数と体調の詳細な報告
  • 服用中の薬やサプリメントの申告

治療中の配慮事項

  • 体調変化時の即座の申告
  • 楽な体勢での治療継続
  • 定期的な休憩の確保

治療後のフォローアップ

  • 処方薬の適切な服用
  • 異常を感じた際の速やかな受診
  • 産婦人科での経過報告

 

妊娠中の歯科治療への不安は理解できますが、適切な時期に正しい治療を受けることで、母体と胎児の両方の健康を守ることができます。痛みを我慢し続けることで生じるストレスや感染拡大のリスクの方が、適切な治療を受けることよりもはるかに危険です。

この体験を通じて、妊娠期の口腔健康管理の重要性を多くの方に知っていただき、安心して適切な治療を受けられる環境づくりに少しでも貢献できれば幸いです。何より、健康な口腔環境で出産を迎え、生まれてくる赤ちゃんとの生活をスタートできることの価値は計り知れません。